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【9/30】国際識字デーイベント2016 読み書きの力が、生きる力に。開催報告

2016.10.18   イベント報告

2016年9月30日、パルシステム東京新宿本部にて、国際識字デーイベント2016「読み書きの力が、生きる力に。」を開催しました。

国際識字デーイベント2016「読み書きの力が、生きる力に。」

1965年にユネスコが9月8日を、国際識字デーに制定してから51年。今も、世界では7億人以上が文字の読み書きができません。
このイベントでは、教育の現場で活動されている関根朱美氏、小林普子氏をお迎えし、長年海外での識字教育に関わってきたシャンティの山本英里と日本ユネスコ協会連盟の関口広隆氏の4人で、国内外の識字課題や現状についてご紹介しました。

海外での識字の現状

まずシャンティの山本より、海外での識字課題やシャンティの取り組みについてご紹介しました。

シャンティ国際ボランティア会 海外事業課 山本英里

シャンティ国際ボランティア会 海外事業課課長 山本英里

世界では7億人以上が、読み書きできないとされていますが、そのうちの63%は女性だと言われています。またアフリカ諸国や南アジア・東南アジア諸国において、識字率はとても低く、シャンティが活動している地域の1つ、アフガニスタンでは39%です。

ではなぜ読み書きする能力が大切なのでしょうか?-読み書きは、日常生活ときっては切り離せないものです。文字が読めないことは、命にかかわる問題にもなります。例えば、間違った薬を飲んでしまったり、危険区域へ入ってしまったり、正しい行政手続きを行うこともできません。また、読み書きできないことは、貧困のサイクルにつながる要因の1つです。

poverty-cycle

農業についての正しい情報を得られず、収穫が減り、収入が少ないため、子どもに教育を受けさせられない、そして読み書きができない…
こうしたサイクルを断ち切るためにも、識字能力を身につけることが大切です。

SDGs(持続可能な開発目標)では、読み書きの他に、創造性や共感性といった非認知的能力も識字の大切な要素であると伝えています。非認知的能力は仕事をしていく上で、社会で生活していく上で重要になってきます。

シャンティはアジアの国々で識字教育と学習支援をしています。例えば、ミャンマーでは貧困により日中に学校に通えない子ども向けに夜間学校を開校し、カンボジアでは図書館でコミュニティーラーニングセンターを開いています。こうした場で、人びとは読み書きを勉強するとともに、一緒に授業を受けながら、コミュニケーション能力を学んでいます。

※海外の識字の現状やシャンティの識字に関する活動について詳しくはコチラもご参照ください。

世界の識字率-9月8日は「国際識字デー」

 

親が外国籍の子どもたちの識字課題

海外での識字課題について報告した後、さいたま市立木崎中学校で教鞭をとっておられる関根氏に、教師の立場から外国籍の親をもつ子どもたちが抱える課題について、お話しいただきました。

さいたま市立木崎中学校 教諭 関根朱美 氏

さいたま市立木崎中学校 教諭 関根朱美 氏

「読み・書き」の力は、小学三年生頃から差が生まれ、意味をとらえた上で、漢字などの言葉を覚えられないことがあるそうです。両親のどちらかが日本人である場合、読み書きができても、聞いたり、話すことが苦手であったり、両親が日系の方である場合、話すことよりも、読み書きに苦労したり、子どもの家庭環境によって、様々な対応・指導が必要になります。また保護者のコミュニケーション能力が、子どもに大きく影響しており、人との関わり方において難しさを感じる子どもも少なくありません。

識字能力において難しさを抱える子どもたちが、前に進んでいくために、本人の夢・希望・意欲が大きな支えとなると関根氏は伝えていました。そして困難なことがあっても、夢や希望に向かって努力する子どもたちを、周囲の大人が温かく見守り、支えることが大切なのだと感じました。

新宿区に住む外国にルーツを持つ子どもたちの支援

次にNPO法人みんなのおうちの小林氏に、外国にルーツを持つ子どもたちの学習支援の現場について紹介いただきました。

NPO法人みんなのおうち 理事 小林普子 氏

NPO法人みんなのおうち 理事 小林普子 氏

NPO法人みんなのおうちが活動している新宿区には、121か国約40,000人の外国人が登録しています。新宿区の人口全体の11.8%にあたり、この人口構成は、日本全国に広がりつつあります。

外国にルーツを持つ子どもたちは、日本語能力や教科学習において様々な問題を抱えています。また経済的困難から生活環境が整わない家庭も多くあります。高校に進学しない道を選ぶ子どもも少なくありませんが、小林氏は高校進学の意義を強く訴えていました。

高校進学は自分のレベルに合った学校で学ぶことができ、アルバイトをすることで金銭的にも安定します。外部の環境が整うことで、家庭内でも、親子の関係が良好になることもあるそうです。
このように、高校進学を機に子どもたちが自己肯定感を持つことができると言います。

NPO法人みんなのおうちは、外国にルーツを持つ子どもたちを支援するため、多文化交流の機会を設けたり、多言語での絵本の読み聞かせをしています。

トークセッション・会場との質疑応答

最後に日本ユネスコ協会連盟の関口氏がファシリテーターとなり、参加者からの質問をもとにトークセッションを行いました。

日本ユネスコ協会連盟 関口広隆

日本ユネスコ協会連盟 関口広隆 氏

民族国家における識字は、それぞれの文化を尊重し、公用語だけでなく母語の保護をすることの重要性について語られました。そして識字の必要性を感じていない場合があるので、具体的な課題の解決やメリットを伝えることが、興味を持ってもらうきっかけにつながるそうです。

参加者アンケート(一部抜粋)

・海外の事例だけでなく、国内の問題についても知ることができました。身近なところで自分自身にできることは何かないか考える良いきっかけになりました。
・世界の非識字問題について深く知ることができた他、日本の問題についても同時に聞くことができ大変刺激的でした。
・識字→夢→生きる力の結論、とても希望が持てました。

 

識字は海外だけでなく、日本国内でも課題となっています。外国にルーツを持った子どもたちが増えていることからも、周囲の人びとも他文化を知り、受け入れることが大切だと感じました。

報告
シャンティ国際ボランティア会
広報課インターン 髙橋

※国際識字デーイベントは、公益社団法人シャンティ国際ボランティア会、公益社団法人日本ユネスコ協会連盟、公益財団法人ユネスコ・アジア文化センターが共催して開催しています。2016年のイベントは、生活協同組合パルシステム東京より会場をご提供いただきました。

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