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「セイラースタッフと話す難民キャンプと図書館活動」イベント報告

2016.11.3   アジアの図書館サポーターイベント報告

2016年10月12日(水)にシャンティ東京事務所の会議室にて開催しました「セイラースタッフと話す難民キャンプ図書館活動」報告会のご報告です。「アジアの図書館サポーター」限定でご案内をさせていただき、都内と横浜市から4名のサポーターさんが参加くださいました。少人数ならではの距離の近い報告会となりました。

会は東京事務所スタッフ、サポーターさん、それぞれの自己紹介からスタートしました。シャンティを知ったきっかけや、サポーターとしての思いなど、現地事務所のセイラーも興味津々でお一人お一人のストーリーを聞かせていただきました。
セイラースタッフもシャンティに入る前のこと、シャンティで働くことになるまでのことまで遡って話してくれました。
セイラーはシャンティのミャンマー(ビルマ)難民事業事務所の所長代行をしているベテランスタッフです。
2001年にシャンティに入職する前は、難民キャンプの学校で英語の教員をしていました。当時は教科書もなくて大変困ったそうです。子どもたちは「どうして勉強するの?」と聞いてきます。子どもたちはキャンプ生活の中で将来の仕事や夢について考えることが難しくなっていました。そんな時、日本のNGOが図書館を始めると聞き、「これだ」と思い、スタッフの採用はなかったのですが、事務所を訪れ、活動への思いを伝えます。翌年、幸いスタッフとして働き始めることができました。以来15年以上、キャンプのコミュニティ図書館事業に携わっています。PA120019

【いま大変なことは何ですか?】
・難民キャンプができてから30年以上がたちますが、現在も10万人以上が9か所のキャンプで生活しています。
本国ミャンマーの民主化にともなって、帰還の動きが活発になっています。先日10月下旬には事前に帰還を希望していた96名の難民が国境を越えました。年末以降、大規模な帰還も行われる可能性が高まっています。しかし、ミャンマーに頼る家族のない人は「どこに住むのか?」「何をして生計をたてるのか?」「子どもたちは学校へ行けるのか?」、不透明な帰還先の状況に不安な日々を過ごしています。将来への不安から若者のアルコールや薬への依存や自殺が増加しています。
・帰還の動きに合わせて、国際支援が減少し、水や衛生支援の団体、保育園を運営していた団体など次々に支援団体が撤退を表明しています。主食であるお米の配給の量が以前の半分に減らされるということも起きています。難民キャンプで支援活動をするためにはタイ政府の許可が必要になります。事前に決められた支援しか行うことができません。たとえば、もし学校を支援する団体が撤退すれば、学校がなくなります。今後、教師や教材も不足し子どもたちの教育の質が下がっていくことも懸念されます。
図4

【活動でうれしいことは何ですか?】
・図書館まで来ることのできない地域に住む方たちにも本を届けるため、移動図書活動をスタートしました。車やバイクは入れないので人力でプラスチックケースに入れた本を運びます。地域のリーダーの自宅などを借りて、図書活動を行っています。最初は協力的でなかった人たちが子どもたちや親たちが熱心に図書スペースに訪れる様子を見て、段々と力を貸してくれるようになりました。
図1
・青年たちが読み聞かせや人形劇、移動図書活動などの図書館活動を手伝う図書館青年ボランティアが育っています。人に必要とされ、自分が成長していくことを活動の中で実感することで将来への希望を持つことにつながっています。
図2

参加者の皆さまから多くの質問をいただきました。いくつかご紹介します。
【水・衛生面について】
・支援団体が入っていますが、川の水を汲んで飲み水にしたりと衛生環境はよくありません。
・クリニック(病院)はありますが簡単な治療しかできません。
【家について】
・家や配給される竹や葉を使用して難民がたてています。コンクリートなどの自然に帰らない材質は禁止されているため、火事など災害に弱く被害が大きくなります。
【ネット環境】
・インターネット回線を引くことはタイ政府により禁止されています。情報が著しく制限されているキャンプでの生活をサポートするため、シャンティの図書館では新聞や雑誌の設置、オフラインでのパソコン利用ができるようにしています。また、帰還や第三国定住に関わる情報等、重要なものは掲示板を設置しています。
図5
【宗教について】
カレン族の人たちはキリスト教が一番多いです。仏教、イスラム教、アニミズム(精霊信仰)の人たちもおり、多宗教です。
【帰還について】
年末以降の乾季の時期に大規模な帰還が行われる可能性があります。難民の人たちは戻った場所が紛争がない安全な場所であること、医療や教育などの社会サービスを受けられることなどを求めていますが、不透明な部分が多く不安に感じている難民も多くいます。
【図書館の利用者層について】
約6割は17歳以下の子どもたちたちですが、大人向けの本や新聞や雑誌も多く揃えており、幅広い層の人たちが利用しています。報告では「英語の勉強と農業を学ぶために図書館に通っている」というタムヒンキャンプに住むラー ナインさん(70歳)の声を紹介しました。
ラーナインさん
『私は農業と耕作が好きです。いつか祖国に戻ったとき、お金を稼ぐためにやりたいと思っています。空いた時間には、本を読みます。ときどきキャンプの図書館に通います。英語の勉強もしたいと思っているので、英語の本も読みます。図書館で多くのことを学びたいと思っています。本を読むことで、一般的な知識だけでなく、農業の技術も学びたいです。』
【職業について】
・キャンプでは職業を持って働くことは正式には禁止されています。あくまで一時的な避難所とされているためです。図書館活動は子どもたちや青年層がなりたい職業について考え、将来に希望をもてるように取り組んでいます。図書館員や青年ボランティアの活動を通して、子どもたちに教える先生になりたい、地域のリーダーになりたいと答える子どもたちも多くいます。
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報告の中で、セイラーが何度か「big change」という言葉を使いました。本も図書館も知らなかった子どもたちが学び続けたいと思うようになる、親や地域の人たちが図書館活動に関わるようになる、青年たちがボランティア活動を通して将来に希望を持つようになる。図書館活動がキャンプで暮らす人たちにさまざまな良い変化を与える様子を日々感じているからです。

ミャンマーやタイについて、カレン民族のこと、その他限られた時間で答えきれなかったご質問もありましたが、図書館活動を支えてくださるサポーターの皆さまに現地の声を届けることができ、応援の言葉を直接いただけたことは大きな励みになりました。
最後に記念写真を撮りました。

【参加者アンケートより】
・現在、そして将来の問題を含めて、現状のありのままを知り、私たちが支援していることの意味と、実際に役立っていることがわかり本当に嬉しかった。
・難民とは、難民キャンプとは、国それぞれの事情が違うことを知りました。微力ながら何かの応援で細く長く続けていきたいと思います。
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また、10月15日(土)には第2回の報告会を開催しました。PA150005週末にもかかわらずご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

広報課 アジアの図書館サポーター担当 平島

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