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報告会「難民キャンプの図書館」開催報告

2017.10.28   イベント報告東京事務所より

三菱商事ビル MC FORESTにて開催

2017年10月13日(金)、東京・丸の内の三菱商事ビル MC FORESTにて、ミャンマー(ビルマ)難民キャンプの活動報告会を開催しました。ミャンマー(ビルマ)難民支援事業事務所から所長代行のジラポーン・ラウィルン(セイラー)とプロジェクトマネージャーの菊池礼乃が登壇し、難民キャンプの現状やキャンプで育った子どもたちの今をご紹介しました。報告会終了後、アジアの子どもに「絵本を届ける運動」の体験会にもご参加いただき、全体で約30人にご参加いただきました。

【10/12】難民キャンプの図書館~キャンプで暮らす子ども、キャンプを出た子どもの今

 ミャンマー(ビルマ)難民キャンプって、どんなところ?

ミャンマー(当時ビルマ)の軍事政権と少数民族の反政府勢力との抗争などからタイへ逃れてきた人々を受け入れるため、1984年に設置された難民キャンプです。キャンプ内の衣食住や医療、教育などの社会サービスから、帰還、自立支援など全てが国際機関やNGOの支援で成り立っています。

難民キャンプの遠景

いずれ難民は帰還し、キャンプは閉鎖されることが前提のため、住居はコンクリートなどの使用は禁じられ、自然に返る竹などで作ることは認められています。日常生活に支障はありませんが、一度、山火事や洪水が起こると全焼、または全て流されてしまうなど被害が非常に大きくなります。

教育施設はキャンプ内に幼稚園63園、小学校29校、中学校10校、高校26校、高等教育機関(日本の専門学校のような学校)10校があります。教育施設もすべて国際機関やNGOが支援しており、近年は支援の減少や撤退により社会サービスが減少し、難民キャンプ内での不安が増大しています。

難民の人々の選択肢

難民としてキャンプに滞在する人々の選択肢は主に3つあります。

難民キャンプ内の風景

1つは、キャンプのあるタイへ帰化すること。ただ、これに関しては現時点でタイ政府は認めておらず、帰化は難しい状況となっています。

2つ目は、第三国定住です。アメリカやオーストラリアなどの国が難民の受け入れを行っていて、難民自身も、より良い教育や生活、また西欧文化への憧れから希望する人が多くいます。しかし、2013年までに第三国定住の募集はどの国でも締め切られ、現在、新たな募集も無い状態となっています。

最後に、ミャンマーへの帰還です。しかし、人々が不安に感じる点が多くあります。帰還をしても頼る人はおらず、どうして良いか分からない。若い世代の中にはミャンマーを祖国だと感じられない人もいるという問題があります。将来に向けての課題は多く、結果的に「難民キャンプに滞在したい」と希望する声も多く上がっています。

難民キャンプ内での図書館の役割と図書館が作った未来

キャンプ内での図書館は、ただ本を読むだけでなく、絵を描き、読み聞かせなどもします。図書館が「外の世界を知る唯一の手段」であり、「社会との関わりを提供」し、「平和のメッセージを伝える」という3つの役割も果たしています。

セイラーと菊池は、難民キャンプで育った2人を紹介しました。

報告会に登壇したスタッフ

一人目は、6歳で難民キャンプにたどり着いたシーショーさんです。母親は図書館のスタッフだったため、毎日図書館に通うようになり、特にお絵描きが好きでした。2009年に図書館で行われた絵本コンテストの絵の部門で優勝したこともあります。その後、家族でアメリカへ第三国定住し、美術の大学に入学します。卒業後はプロのアーティストとして絵本の絵を描いたり活躍しています。大学卒業後の彼から直接連絡が入り、「自分の全ては図書館から始まった」という言葉を聞いてとてもうれしかったそうです。

ミャンマー(ビルマ)難民キャンプの図書館での絵本の読み聞かせの様子

もう一人はティクトゥーさんです。彼女は2歳の時に難民キャンプにたどり着きました。13歳の時、小学校6年生で結婚をしました。しかし、この結婚はかなり早婚で、近所や周りの人からうわさ話をされ、次第に彼女は家に引きこもるようになりました。そんな生活が2年ほど続きましたが、図書館で青年ボランティアをしていた友人が彼女を活動に誘いました。ティクトゥーさんは迷いながらも勇気を出して活動に参加してみることを決めました。活動をする中で、段々と彼女にも笑顔が増え、明るさを取り戻していったそうです。うわさ話をしていた人々も彼女に対する見方が変わり、彼女は5年間、図書館青年ボランティアとして活動し、メンバーの中心的存在となりました。現在、彼女は1児の母となり、ミャンマーへの帰還を望んでいます。帰還後は、作られたコミュニティのために働きたいという夢を語ってくれました。

シャンティ国際ボランティア会

二人とも図書館を通じて、様々なことを経験し、自信をつけた結果、未来をつかむことができたのです。

「難民キャンプは、いまだに多くの課題を抱えています。図書館事業の効果も数値化しにくいため、どのように難民の人の役に立っているか分かりにくいところもあります。しかし、2000年からシャンティが行ってきた図書館活動を通じて、シーショーさんやティクトゥーさんのような人も出てきています。図書館の来場者数も年間40万人と多くの人に愛される図書館となりました。こうした図書館や教育の力を信じて、これからも活動をしていきたいと思います」というスタッフの菊池の言葉がとても印象的でした。

ドキドキの絵本体験

報告会の後は、「絵本を届ける運動」の翻訳シール貼り体験を行いました。絵本へのシール貼り方の説明を聞き、真剣に取り組んで下さいました。「緊張する!」、「日本語では短い文章なのに、現地の言葉ではこんなに長いんですか?」など、スタッフや周りの参加者とのおしゃべりも楽しみながら2人1組で1冊の絵本を仕上げて下さいました。

絵本に翻訳シールを貼っている様子

最後に、シールを貼った絵本に名前を書いて完成です。この絵本がアジア各国の子どもたちの手元に届き、子どもたちの未来を作ります。ご参加いただきありがとうございました!

【イベント報告】
シャンティ国際ボランティア会
広報課 インターン 岩松 智子

難民キャンプ内の図書館の様子

今後もシャンティは、ミャンマー(ビルマ)難民キャンプでの図書館活動を通じて、キャンプ内の子どもたちの未来のサポートをしてまいります。引き続き、活動への応援とご支援をよろしくお願いいたします。

ミャンマー(ビルマ)難民キャンプにおける事業指定寄付

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