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【イベント報告】カンボジア駐在員報告会 カンボジア幼児教育の『今』

2018.10.9   イベント情報カンボジア東京事務所より

9月27日、恵比寿でカンボジア駐在員報告会を行いました。
報告の内容は2013年から現地事務所で駐在員として働いている萩原より、カンボジアの現状や幼児教育の必要性、現地での幼児教育事業についてです。
当日は、19名の方にご参加頂き約1時間の報告会と、希望者はその後、絵本貼りのワークショップにもご参加頂きました。

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<カンボジアの現状>

シャンティの前身である、曹洞宗東南アジア難民救済会議はカンボジアの難民支援から活動をスタートしています。当時、難民キャンプでの絵本の活動は「蚕が桑を食べるように、子ども達は絵本にかじりついていた」と言われるほど、食料支援などでは補いきれない「心の栄養」の大切さを実感したと当時のスタッフは話していました。

それから時代は流れ、カンボジアは大きく成長しています。
日本の企業も多く入り、プノンペンには大きなショッピングモールができて、観光地としてもアンコールワットが非常に有名になり、日本からの直行便もできました。

しかし、その急成長の一方で都市と農村部の貧富の格差は広がっています。
農家は昔ながらのやり方で、栽培をしていますが、自然災害に弱く、借金を抱えながらの自転車操業状態です。
また、農村の刈り入れなどの繁忙期は人手が足りないため、子どもが学校へ行かず手伝いをしています。
親がタイに出稼ぎに行き、子どもが国内に放置されるケースも多くあります。

収入が不安定なので、子どもに学校を卒業させられるか分からないような状況にあり、特に北東にある山岳部の少雨数民族の多いエリアは貧困率が高くなっています。

貧困家庭の子どもたちは教育を受けられていない場合が多く、不就学児童が都市部は7.6%に対し、農村部は14.4%と約2倍です。
親の世代がしっかり教育を受けられなかったダメージが子ども世代にも及んでいる、それが今のカンボジアの現状です。

 

<なぜ幼児教育なのか?>
子どもの成長土台としての身体、言語、認知そして心理・社会面という4つの土台ができるのは、幼児期です。
この土台を確実に作ることで、その後の成長や将来の構築に大きく関わってきます。
貧困層の家庭は土台作りへのケアが不足しがちですが、それをしっかりと作ることで、将来貧困から脱するチャンスになり、貧困の再生産を止めることができます。
確実に土台を作ることは、子ども達の将来に大きく左右するのです。

 

<カンボジアの幼児教育>
カンボジアの小学校1年生の留年率は11.6%と高く、就学前の準備ができていないことが要因だと言われています。
しかし、適切な幼児教育を行うことでこの現状は改善することができると考えられています。
就学前教育は、日本は98.5%に比べ、カンボジアは68.5%。
しかし、68.5%とデータというデータも、在籍はしているが、通園していない場合や、幼児教育を実践できているかどうか怪しいものも含まれています。
教師も不足していて、無資格の人やカリキュラムの理解が乏しい人が教師をしていることも多く、幼児教育の現場は課題を多く抱えています。

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<幼児教育事業の概要と成果>
カンボジアの幼児教育は、「楽しく、遊びや経験をとおして学ぶことが大事」という観点よりも、小学校と同じようなやり方で教育をしているケースもあります。
シャンティでは日本の幼児教育の現場と同じように、「楽しく、遊びや経験をとおして学ぶ」という点に重点を置いてきました。

その考えのもと、お話の読み聞かせ活動では、なぜ大事か?どういうふうにやると、効果的か?絵本以外の教材やアクティビティのアイディアなどについて、幼稚園の先生たちに研修を行っています。

また、教育環境の改善も行っています。
幼稚園は小学校の空き部屋を使うことも多いため、床が汚れていたり、家具も小学生サイズのもので、幼稚園の子ども達には合っていません。
そうした学校に環境改善の支援を行いますが、全てシャンティ側で用意するのではなく、支援校には、自分たちで資金調達を行ってもらい、クラスの床は裸足で走り回れるような環境にしてもらいました。
そうして環境が整ってから、シャンティが家具を提供し、使い方の講習を行います。

自分のロッカーには自分の名前の文字と絵が描き、教材棚にも絵を描いて、子ども自らの片付けができるようにした。この方法は効果があり、子どものお片付け週間がついたという保護者からの声も上がりました。
また、その他にも多くの研修を通じて、教員や保護者の意識が変わってきました。

 

小学校教員の声:最初は床も汚かったし、どんな教材を作れば良いか分からなくて、保護者も非協力的でした。しかし、多くの研修を受ける中でだんだんと変わって、良くなっていった。

 

先生の声:子ども達の読み書き、聞く力、コミュニケーション能力がついた。

 

保護者の声;始めは、息子を汚い幼稚園に行かせたくなかった。しかし、幼稚園がきれいになって通わせることを決めた。今は、幼稚園に行くのを子どもがとても楽しみにしている。

 

保護者:家は食べ物がない時も多く、子どもも病気がちだった。今は学校に行けることで私もフルタイムで働くことができ、家計を助けることが出来ます。子どもの友達ができて、楽しそうです。

 

自分の子どもを通わせられなかった保護者:
幼稚園に通わせている子どもとそうでない子とは大きく違う。私の子どもは幼稚園に行けなかったが、親戚の子どもは行けていて、毎日の生活の中での態度も全然違う。幼稚園の必要さを実感した。

 

幼児教育に関して、疑問を持つ人も当初はいましたが、活動が定着し、子ども達の様子が変わることで周囲も変わってきました。

子ども達の未来にとって大事だということを大人が分かるということも大きな成果のひとつとなりました。

 

<日本とカンボジアの繋がり>
カンボジアでの活動は多くの方とのつながりの中で行ってきました。
静岡県にある、天竜厚生会の協力のもと、カンボジアのスタッフが日本の幼稚園に来て研修を受ける機会もありました。
この時、カンボジア人スタッフが日本の園児の前で「大きなかぶ」の読み聞かせをクメール語で行ったところ、大変に盛り上がり、カンボジアへの興味を日本の子ども達に興味づけすることで、草の根での交流が生まれましたと感じました。
また、今年の夏の西日本水害では、ニュースを見たたくさんのカンボジアの人々が、日本への募金や写真を送ってくれました。
両国の繋がりがこうして作れたこともとても良かったと感じています。

幼児教育は日本にいると、当たりまえでしたが、その裏には多くの人とその情熱が作ったものだとこの活動の中で感じました。この事業を通じて作られた思いを育て、貧困から脱却する子どもたちが増えることを目指しながら、これからも事業を頑張って行っていきたいと思います。

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※本事業はJICA草の根技術協力の一環として実施しています。

登壇者:カンボジア事務所調整員 萩原

イベント報告:広報課 岩松

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