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オンラインイベント開催報告「国際協力の現場からVol.4 新型コロナウイルスが与えた影響~カンボジアの都市部と農村部の子どもたちの今~」

2020.10.13   イベント報告カンボジア

皆さん、こんにちは。

事業サポート課の黒田です。

10月10日(土)に「国際協力の現場から」Vol.4 新型コロナウイルスが与えた影響~カンボジアの都市部と農村部の子どもたちの今~と題して、カンボジアの様子をお伝えするイベントを開催しましたのでご報告させていただきます。

登壇者紹介

ユン・ヴィスナー(バッタンバン事務所から参加)

ユン・ヴィスナー

シャンティ・カンボジア事務所 フィールド事務所マネージャー。1965年生まれ。クメール・ルージュ時代に幼少期を過ごし、インドネシアの難民キャンプへ渡った後、いくつかの仕事を経て1995年に入職。以来、学校建設、幼児教育事業など事業全般の運営管理を担当。

加瀬貴(プノンペン事務所から参加)

加瀬貴(カンボジア事務所所長)

シャンティ・カンボジア事務所 所長。2004年国際協力業界に就職、2008~2010年日本ユネスコ協会連盟カンボジア事務所現地駐在員、2011年青年海外協力隊カンボジア派遣の後、2013年5月に入職。ラオス事務所所長を経て、2018年5月より現職。

 

カンボジア概要(都市部と農村部の格差)

カンボジアの都市部と農村部

世界遺産のアンコールワットが有名なカンボジアは、近年堅調な経済発展を続けています。

一方で、都市部と農村部に大きな格差が存在し、農村部の住民は都市部の住民ほど経済発展の恩恵を受けられていません。

カンボジア国民の約8割が農村部に住んでいると推計されていることから、農村部住民への支援をいかにして行っていくかが、カンボジアにおける非常に重要な課題となっています。

 

カンボジア概要(貧困問題)

カンボジアの多次元貧困指数

カンボジアは新型コロナウイルス発生以前から深刻な貧困問題を抱えていました。

2018年に国連開発計画が発表した多次元貧困指数(上記写真)によると、カンボジア国民の35%が貧困層、21%が潜在的貧困層であると分析されています。

潜在的貧困層とは、疾病や災害など何かしらの問題が発生した場合に貧困層に転落するリスクの高い人々を指します。

つまり、21%の人々は経済に大打撃を与えた新型コロナウイルスのような危機事象により貧困層に転落する可能性が極めて高いとも考えられます。

 

コロナ禍のカンボジアでの生活

カンボジア国内の新型コロナウイルス感染状況

カンボジア国内での最初の感染例は1月28日に確認されました。

しかし現在に至るまでに確認された感染者数は280人(死亡者なし)であり、カンボジア政府の感染防止策は一定の効果をあげています。

具体的には、カンボジア正月(クメール正月)の大型連休を4月から8月に延期したり、学校を全国的に閉鎖したりといった、人の移動や密集を避ける対策が実施されました。

街全体のロックダウンは実施されていませんが、人々は自主的に商店を閉め、外出を控えています。

コロナ禍の街がどのような状態になっているのか、写真を通してご紹介いたします。

プノンペンのスーパーの様子

プノンペン市内の大型ショッピングモールはコロナ禍でも営業を続けています。

しかしご覧の通り、従業員およびお客はマスクなどを着けており、密を避けるために足元に立ち位置を指示するステッカーが貼られています。

フードコートの様子

新型コロナウイルス発生前はごった返していたフードコートも、ご覧の通り、がらんとした状態です。

多くの住民が感染を避けるために外出を自粛し、いわゆるステイホームを続けているため、このような状態になっています。

パブストリート

こちらは比較写真となっているため、より一層違いが際立っています。
連日連夜、観光客でにぎわっていたパブストリートもご覧の通りです。

新型コロナウイルスが与えたカンボジア国内の観光業への影響は計り知れません。

帰国する移民労働者

3月末頃のタイ・カンボジア国境の様子を写した写真です。
これまでの写真とは違い、多くの人であふれかえっています。

カンボジア政府が3月末にタイ・カンボジア国境を閉鎖すると予告したため、大量の移民労働者がカンボジアへ帰国しようと国境に詰めかけました。

新型コロナウイルスの影響によりタイ国内で職を失った人々は家族に仕送りすることもできず、またカンボジアに帰国後も職に就けず、多くの家庭が貧困に苦しんでいます。

 

コロナ禍の学校教育

カンボジア国内の教育への影響

3月16日から全国の学校が閉鎖されたため、子どもたちの学びの機会は大きく減少してしまいました。

教育省は国営放送などを利用しオンライン学習を提供していますが、通信環境が整っていない家庭の子どもたちはオンライン学習を利用できません。

そこで教員が生徒の自宅を訪問し自主学習のサポートをしていますが、生徒全員をカバーすることは難しい状況です。

9月7日から、教育省のガイドラインに従って分散登校や、手洗いを徹底したりといった感染防止策をとりながら学校が段階的に再開しているものの、1クラスあたりの人数も制限されています。

1クラス20人以下になるように生徒を分けていますが、教室と教員の数は変わらないため、生徒は週に2日程度しか登校できていません。

カンボジアは新型コロナウイルス発生以前から、2部制や3部制を実施している学校が多く近隣諸国と比べても学習時間が少ないという課題を抱えていました。

その課題が新型コロナウイルスによりさらに悪化しており、子どもたちの教育を受ける権利への影響は甚大です。

 

シャンティができること

カンボジアの電子図書館サイトのキャプチャー画像

教育を受ける機会が減少している子どもたちのために、カンボジア事務所がこれまでに出版した図書を電子書籍化しアップロードした電子図書館を開設・公開しました。

読み聞かせ動画も収録されており、教員、保護者、子どもたちなどが自由に閲覧できるようになっています。

9月末までの利用者数は約8000人に上っています。

今後、教育省等の関係各所でも周知いただくよう調整をしており、さらに拡大が見込まれています。

 

カンボジアの電子図書館のサイトはコチラ

Shanti Volunteer – Shanti Volunteer Association Cambodia

利用者の利便性を考えてサイト構成は極力シンプルに、表示言語はクメール語のみとなっておりますので、その点はご了承ください。

質疑応答

イベントの最後に参加者の皆様からいただいたいくつかの質問に回答いたしました。

※質疑応答の詳細はこちらのYouTubeリンクにてご確認いただけます。

(質疑応答は「42分~」となります)

 

Q: 新型コロナウイルスの影響で、家計を心配するあまり、働く子どもが増えていますか?

A: 教員からの報告によると、働く子どもの数は増えています。両親が国内の別地域に出稼ぎに行き、お兄さんやお姉さんが下の子どもの面倒を見る家庭内労働のようなものも増えています。

 

Q: カンボジア国内では在宅勤務が行われていますか?その数は増えていますか?

A: 感染拡大が進んでいた3月~5月頃は、政府機関、民間企業、NGOなど多くのセクターで在宅勤務が取り入れられていました。しかしインターネット代が高いため、感染状況が落ち着いている現在は在宅勤務の頻度は減っています。シャンティカンボジア事務所も3~5月頃は在宅勤務を推奨していました。

 

Q: 住民の衛生意識に変化はありましたか?また都市部と農村部に違いはありましたか?

A: 都市部や農村部などの地域に関わらず、住民の衛生意識は高まっています。メディアを利用した感染予防キャンペーンが効果をあげていると思います。

 

Q: 電気やモニターがない家庭ではどのようにオンライン授業に参加しているのでしょうか?

A: 確かに都市部の子どもたちが最も大きな恩恵を受けているのが現状です。残念ながら電気やモニターがない地域・家庭の子どもたちはオンライン授業の恩恵を十分に受けられません。しかし政府は柔軟に対応していこうとしており、教員が家庭訪問し、近隣の子どもたちを集めた少人数グループに対して青空授業のようなことを行っています。

 

登壇者からのメッセージ

ユン・ヴィスナー

ユン・ヴィスナー

本日は参加いただきありがとうございました。

またシャンティとカンボジアを支援いただきありがとうございます。

 

加瀬貴

加瀬貴(カンボジア事務所所長)

本日は貴重な機会をいただきありがとうございました。

難しい状況ですが、ピンチをチャンスに変えられるよう最善を尽くします。

引き続きよろしくお願いいたします。

 

 

最後に、東京事務所のカンボジア事業担当として、私が感じていることを書かせていただきます。

現在、国際社会が総力を挙げて新型コロナウイルスのワクチンを開発していますが、すぐに完成させるのは難しいと思っています。また、仮にワクチンが完成したとしても、先進国から優先的に配布されてしまい、カンボジアのような途上国、それも農村部のような開発が遅れている地域に住む人々に行きわたるまでには年単位の時間がかかるはずです。来年以降も感染症と付き合いながら支援活動していくことを念頭に、今後どのようにカンボジアの人々を支援していけるのか試行錯誤を続けていきますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 

イベントの様子はYouTubeでご覧いただけます

※当日のイベントの様子は以下のリンクからご確認いただけます。

  • 絵本を届ける運動
  • アジアの図書館サポーター
  • 本の力を、生きる力に。