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中高生向けイベント「アジアの現場から考える平和~翻訳絵本をつくってみよう」開催報告

2018.8.14   イベント報告絵本を届ける運動

中高生向けイベント「アジアの現場から考える平和~翻訳絵本をつくってみよう」

2018年8月6日、東京・広尾の聖心グローバルプラザ1Fで中高生向けイベントを開催しました。

【中高生向け】アジアの現場から考える平和~翻訳絵本をつくってみよう~

みんなが思う「平和」って?

8月6日「広島平和記念日」に合わせ、「平和」とは、どういうことなのか、参加した中高生たちに聞いてみました。

あなたが思う「平和」とは何?

「平和」とは
・戦争がないこと
・争いがないこと
・最低限の生活ができる状態のこと

という意見がでました。

では、「平和」ではないとは、どんな状態を指すのでしょうか。

難民=平和ではない状態

いま世界では、1分間に約20人が難民となっています。難民とは、戦争だけではなく、人種、宗教、国籍、政治的意見などの理由で、自国にいると迫害を受けるか、迫害を受ける恐れがあるために他国へ逃れた人々のことです。

世界で6560万人、そのうち51%が子どもだと言われている難民。
難民が生まれる状況は、平和とはまったく正反対の状態と言えます。

難民キャンプまでの道

シリア難民が逃げる途中、乗っていたボートが転覆して命を落としてしまうというニュースを耳にした人も多いのではないでしょうか。

いまから30年も前に、タイ国境にできたミャンマー(ビルマ)難民キャンプに逃れてきた人たちは、ある日突然、故郷を追われました。

近隣の村々が武器を持った兵隊に襲われ、自分たちの住んでいる村にもいつやって来るか分かりません。このまま村に残っていたら命の保証はない。タイ国境にあるキャンプへ行けば、命を助けてもらえる可能性があります。

難民キャンプまでは、ジャングルの中、山の中を何日も歩いて行かなければなりません。荷物はすべて自分たちで持って逃げなければなりません。何度も荷物を詰め直し、重たいもの、必要ないと考えたものを整理して持って行きます。逃げる途中、家族が病気になってしまうことも。

『そのときみなさんはどうしますか?』という問いに対し、
「近所の人と助け合いながら逃げる」
「薬があったら飲ませる」といった回答が出てきました。

突然住む場所を追われ、命の危険と隣り合わせの状況を普段は考える機会もありません。その状況と過酷さを想像することも容易ではありません。

難民キャンプにたどり着いたら何が必要?

歩いて山を越え、難民キャンプの検問所にたどり着きます。ミャンマー(当時ビルマ)を出て、難民キャンプのあるタイへ入国するたには何が必要でしょうか?

入国するには、パスポートや日本のマイナンバーカードにあたる身分証明書(IDカード)などがあれば、比較的簡単に受け入れてくれます。それらを持っていない場合、「難民登録」をする必要があります。しかし、難民キャンプに逃れてきたカレン族の人たちは、国・政府と敵対しているとされ、国民としてカウントされておらず、ほとんどが無国籍の状態でした。

難民は国からパスポートや身分証明書を発行してもらえず、身分を証明することができないため「自分は世の中に存在していない」と言う人も少なくありません。

一人の人間としてカウントしてもらえない。そのような状態が30年以上も続くことを想像してみてください。

難民キャンプでどんな生活が待っている?

難民キャンプのプレス・セイさん(60歳)聞いたお話をご紹介します。

「旦那さんと子どもが8人います。難民キャンプに来る前は、農業をして暮らしていました。ある日、軍が襲ってきました。当時、子どもが小さく、ジャングルの中に逃げました。ビルマ軍が見えなくなるまで、走って歩き続けました。逃げた先で教会を見つけては、再び見つかって逃げる日々。逃げるため、ジャングルの中で数カ月間暮らすこともありました。逃げている途中、娘の一人が病気になりました。弱っていく娘をただ見届けることしかできませんでした。心が折れそうな日々。食べ物を探す日々、どうやって子どもを逃がせるか、考える毎日でした。

2008年に難民キャンプにたどり着きました。それまでの生活が一変するようで、難民キャンプは天国のような場所だと思いました。キャンプに来て、子どもたちが学校に通えるようになり、とても嬉しかったです。それまで、自分の名前を書くことはできませんでしたが、母語のカレン語で書いてみたいと思い、1年間勉強をして、名前を書けるようになりました。

ですが、将来のことを考えることはできません。やっとの思いで逃れてきました。そんな国に帰る気持ちにはなれません。ずっとここで暮らしていたいです。でも、子どもたちにはちゃんとした生活をさせてあげたい。」

彼女の中では、戦争はまだ終わっていないのです。

なぜ教育支援、本なのか?

シャンティは、難民キャンプをはじめ、アジア各国で子どもたちがより良い教育を受けられるよう支援を行っています。そもそもなぜ、教育支援を行っているのか。そして、なぜ本を通じた支援を行っているのか、その理由は大きく分けて3つあります。

1)自立のために文字の読み書き(識字)が必要だから
2)文化的なアイデンティティ、文化、価値観を次の世代につなげていくため
3)「学びたい」と想うことは権利であり、守るべき尊厳だから

文字が読めないということはどういうことか

文字の読み書きは、生活に大きな変化をもたらします。文字の読み書きができないと、単純な作業や肉体労働しか選択肢はありません。文字が読めることによって、職業の選択肢が増えます。自分で選択できる幅が広がります。

また、キャンプで暮らす時間が長くなるほど、子どもたちは自分の生まれた国や民族の文化を知らずに育っていきます。身分証明書もなく、世界の中にカウントされていないと感じる人たちにとって、自分の祖国やルーツを知り、感じることは生きる活力に繋がります。

図書館や本は、文化的アイデンティティの継承という面で、とても大きな役割を担っています。図書館で一番借りられている本は、歴史の本です。なぜ自分が難民キャンプにいるのか知りたい、ということでよく借りられるそうです。大人たちにも「キャンプで生まれた子どもたちに伝えていかなければならない」と気づかせてくれます。

「図書館があったから今の自分がいる」

第三国定住でアメリカに移住したシーショーさんは「学びたい」という気持ちを強く持って、夢を叶えました。

※第三国定住は、希望した人が全員行けるわけではありません。アメリカのトランプ大統領は「国境に壁をつくる」と発言し、アメリカは2018年現在、すべての難民の受け入れをストップしています。

難民キャンプの外を出て、アメリカに移住し、自分の存在を証明するIDカードをもらえたとき「はじめてこの世界の一員になれた」と感じたそうです。
シーショーさんは、難民キャンプにいた頃、図書館が大好きで毎日通っていました。アメリカで、自分は何者で、何が好きなのかわからなくなったとき、キャンプの図書館を思い出したそうです。絵本を読むこと、絵を描くことが好きだと気づき、アメリカで美術を仕事にしたいと目標に掲げ、その夢を叶えたのです。

※シーショーさんについて詳しくはコチラ

僕のすべては、難民キャンプの図書館から始まりました | ストーリー|本の力を、生きる力に。

私たちシャンティは、シーショーさんのような人たちを支えたいと考えています。

世界の課題を解決し持続可能な社会を目指したSDGs

人々が難民となる要因はさまざまです。そんな世界に存在するさまざまな課題を解決しようと、先進国・途上国を問わず、世界全体で目標達成に向けて取り組んでいこうと取り組まれています。誰か一人ががんばるのではなく、みんなで協力して、連携して達成を目指していく目標として「持続可能な開発目標(SDGs)」が2015年に国連で採択されました。

中高生にとっても「持続可能な開発目標(SDGs)」は重要です

SDGsには、平和はもちろん、貧困、環境、持続的な経済活動など、これからの社会の担い手となっていく中高生たちにとって、とても重要な要素が含まれています。

アジアの子どもに届ける絵本づくりを体験

スクリーンのある「ワークショップスペースE」から少し移動して、「わたしたちの活動F」のコーナーで、カレン語の翻訳シールを絵本に貼っていただきました。

聖心グローバルプラザ1Fのスペースで「絵本を届ける運動」の体験会を実施

はさみで翻訳シールを切り取り、絵本の日本語部分が隠れるようにシールを貼りつけます。

中高生向けイベント「アジアの現場から考える平和~翻訳絵本をつくってみよう」

絵本の最後のページに「シールを貼った人」が誰だか分かるように、カレン語で名前を書いてもらいます。カレン語の「あいうえお表」を参考に自分の名前を書くのははじめての体験です。

中高生向けイベント「アジアの現場から考える平和~翻訳絵本をつくってみよう」

翻訳シールを貼っていただいた絵本は、来年2月以降、船便などで現地事務所へ届け、シャンティが活動している地域の学校や図書館などへ配架される予定です。

中高生向けイベント「アジアの現場から考える平和~翻訳絵本をつくってみよう」

参加者の声

・今まで知らなかった難民の子どもたちの実態を知ることができ、大変興味深かったです。実際絵本作りに取り組みことで、難民の子どもたちに少しでも助けになれば、と思います。

・今回のイベントで今まであまり紛争について考えることがなかったが、考え直すかたちになった。今まで知らなかった事を知る事ができた。

・出来上がった外国語の文字の絵本を見たときは全く読めないのにとても嬉しい気持ちになりました。

・難民についてよくわかったし、どのくらいの人が生活に苦しくて読めないと思っているかよく感じました。

・今まで知らなかった難民キャンプのことや、そこに行くまでの苦労、文字を学ぶことの大切さを知ることができ、ためになりました。

【イベント報告】
シャンティ国際ボランティア会
広報課 召田 安宏

アジアの子どもたちに届ける絵本を作ってくださる方、募集中

シャンティ国際ボランティア会は、アジアの子どもたち「絵本を届ける運動」を1999年から行っています。現地の言葉に翻訳したシールを絵本に貼っていただいた絵本は、シャンティが活動している国や地域の学校や図書館などに配布し、子どもたちに楽しんでもらっています。

アジアの子どもたちに絵本を届けてみたい!という方はぜひ「絵本を届ける運動」にお申し込みください!

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